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2050年カーボンニュートラル社会実現のために、山形県内の企業経営者や環境担当者を対象とした脱炭素経営促進についてのセミナーを受講しました。

実施場所:山形県高度技術研究開発センター
主催者:県地球温暖化防止活動推進センター

講演内容

「ゼロから始める脱炭素経営セミナー 他社との事例と環境価値の活用方法について」

講師:Permanet Planet株式会社 代表取締役 池田陸郎

●脱炭素社会へ向けた社会の動向
RE 100
企業が使用電力を100%再エネで調達することを目指すイニシアティブ。2050年までに全消費電力を再エネにすることを目標。 
参加企業は年1回の報告義務あり。

CDP
企業などに環境戦略やGHG排出量の開示を求めるプロジェクト。 時価総額上位企業に質問書を送付して格付、投資家に情報を提供。
*GHG (Green House Gas):温室効果ガス。 二酸化炭素、 メタン、一酸化炭素、 フロンなどがある。

SCIENCE BASED TARGETS
企業のSBT設定を目指すイニシアティブ。 企業のGHG排出削減目標をSBTとして認定し公表。

SBT (Science BasedTargets)
パリ協定の気温上昇目標達成に向けた気候科学に基づく削減シナリオと整合する削減目標。
Scope1~Scope3まで段階あり、すでに認定を受けている日本企業は369社にのぼる。

TCFD
企業などに気候に関する財務情報の公開を促すためのタスクフォース。 企業等に対し、気候関連情報公開のための方法を勧告。
賛同企業は同勧告に沿って報告書を作成。

●再エネ100宣言
RE100の参加要件に当てはまらないが、同党の目標をもった国内の団体が参加できる目標として、現在341団体が参加している。

●消費社会への脱炭素の浸透
脱炭素をはじめとするSDGsへの社会変革は、企業のみならず消費者一人ひとりの関心の高まりと行動を変容させる。
SDGsに配慮された商品・サービスを選択することで企業の経営判断の基準となりつつあります。

●カーボンオフセット
自ら削減できないCO2」を「他の場所で実現したCO2削減・吸収量の取組」を支援する(資金提供など) ことで埋め合わせ (オフセット)することをカーボンオフセットと言います。
このCO2の埋め合わせを簡単に行うために、CO2の削減・吸収量は環境価値「クレジット」と呼ばれ
1t-CO2といった単位で取引されます。

●環境価値について
国内において一般的なカーボンオフセット実施者が活用可能な環境価値

・非化石証書
非化石証書は、再生可能エネルギーなどの非化石電源で発電された電力の、「環境価値」部分を証書化したものです。 

・Jクレジット
Jクレジット制度は、企業や自治体などの取り組みによって排出削減・吸収された温室効果ガスをクレジットとして国が認証し購入・売却できるようにした制度です。
①省エネ設備の導入
②再生可能エネルギーの活用による温室効果ガスの排出削減量
③適切な森林管理による温室効果ガスの吸収量

これらをクレジット化して売却し、その資金を事業の拡大や投資費用の回収など、さまざまな用途で使用します。Jクレジットの購入者は、購入によって温室効果ガスの排出削減・吸収に寄与したとして「環境貢献企業としてPR効果が見込める」「企業評価が上がる」などのメリットもあります。

非化石証書は、需要家が調達できる種類が限られますが、J-クレジットは個人・法人、自治体を問わず調達可能であることが大きな違いです。

「気候危機。脱炭素経営で地域も元気に」

講師:環境省東北地方環境事務所統括環境保全企画官 井上直己氏

【気候危機と地域脱炭素】
●地域脱炭素ロードマップ 対策・施策の全体像
・今後の5年間に政策を総動員し、 人材・技術・情報・資金を積極支援
①2030年度までに少なくとも100か所の 「脱炭素先行地域」をつくる
② 全国で、 重点対策を実行 (自家消費型太陽光、 省エネ住宅 、 電動車など)

・3つの基盤的施策 (継続的・包括的支援、ライフスタイルイノベーション、制度改革) を実施
・モデルを全国に伝搬し、 2050年を待たずに脱炭素達成 (脱炭素ドミノ)

●重点対策加速化事業
2030年46%削減目標に向けて、脱炭素の基盤となる 「重点対策」 の取組に対して支援。
脱炭素先行地域とは別の支援策。 先行地域に選定されなくても活用可能。
① 屋根置きなど自家消費型の太陽光発電
② 地域共生・地域裨益型再エネの立地
③公共施設など業務ビル等における徹底した省エネとエネ電気調達と更新や改修時のZEB化誘導
④住宅・建築物の省エネ性能等の向上
⑤ ゼロカーボン・ドライブ

【カーボンニュートラル時代の脱炭素経営】
●サプライチェーン全体で脱炭素を進める動き
自社の脱炭素だけでなく、 原材料製造時や製品使用時等も含めたサプライチェーン
全体で脱炭素を進める動きが広がっている。
中小企業にも対応が求められる時代に。

●企業の脱炭素に向けた取組の三本柱
・CO2 見える化によって把握した自らのCO2排出量を削減していく必要。
光熱費 燃料費の低減(経営改善)
取引先からの脱炭素化への要請に対応
将来の気候変動リスクに備える

・まずは取り組みやすい対策から始め、中長期的に取り組んでいく対策についても、計画的に削
減していくプランを作る。
取組の三本柱
① 省エネ
② 燃料転換
③ 再エネ電気の調達

「山形県の脱炭素化に向けた取り組みについて」

講師:山形県環境エネルギー部 環境企画課長 遠藤和之氏

山形県では、2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロを目指す「ゼロカーボンやまがた2050」を令和2年8月に宣言しました。そして、「ゼロカーボンへのチャレンジ」をテーマに「第4次山形県環境計画」を令和3年3月に宣言しました。

●アクションプラン
持続的発展が可能な豊かで美しい山形県を目指して、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて県民・事業者等が今後主体的に行う取組みを明示し、それぞれの行動に結びつけるものです。2021 (令和3)年度 2025 (令和7)年度の5年間に実施。

・あらゆる分野について脱炭素型のライフスタイルへの転換を促し、浸透させていく
・当面は既存手法・技術を徹底活用しつつ、並行して新技術の導入も引き続き推進していく
・環境と成長の好循環 (グリーン成長) を図り、地域の課題解決にもつなげていく

●取組みの柱(家庭でのアクション)
【徹底した省エネの推進】
①家電での省エネ
・省エネ性能が高い照明・家電に買い換える
・家電を効率よく使う
②建物の省エネ
・住宅の断熱・気密性能を高める
・ガラス・サッシ等で窓際の遮熱を行う
③乗り物での省エネ
・自家用車に頼らない
・自家用車に乗るときはエコドライブ
・自家用車を次世代自動車に
④行動での省エネ
・「っぱなし」をやめる
・まとめる (洗濯、宅配など)
・冷暖房は適切な温度に
・なるべくゴミを出さない
・地元産の旬の食材、地元企業製品を選ぶ

【再生可能エネルギーの導入拡大】
①再エネ発電設備の導入
・太陽光発電設備等を設置する
・自家消費して電気の購入量を減らす
②再エネ蓄電設備の導入
・日中発電した電気を貯めて
・夜間に使用する
③再エネ熱の利用
・木質バイオマスで暖房、地中熱で融雪
・お湯として熱を貯めて使用する
④使用する電力の切替え
・CO2排出量の少ない再エネ電力に切り替える
・EV+再エネ電力でゼロカーボン・ドライブ

【その他アクション】
①脱炭素への意識転換
・負担ではなく快適な社会につながるもの
・意識とライフスタイルを脱炭素へ転換
・環境に配慮した消費行動 (エシカル消費)の実践
②環境学習・環境活動への参加
・自分の住む地域・社会の現状を知る
・若者向けの環境学習・活動に積極参加する
・学校、地域、職場等での
・学習に積極参加する
③木や森との関わり
・豊かな森林環境に触れ
・保全活動に積極参加する
・日常生活で木を活用する
・県産木材で家を建てる

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取組事例等の紹介

「きらやか銀行の脱炭素化に向けた取組」

講師:株式会社きらやか銀行本業支援部 営業企画課課長 遠藤和之氏

親会社じもとホールディングスのサステナビリティ方針に基づき、「共通価値の創造」の実現を目指す。
●共通価値の創造
取引先の課題解決、業況改善
取引先や地域社会の持続的な発展
当社グループの中期的な企業価値向上

●具体的な取組みついて
SDGs取組支援サービス
外部連携(㈱ネクシィーズと連携し電力使用量を削減する)
温泉熱利用(源泉の個別所有を廃止し、共同給湯システムを利用することでCO2を削減する)

「山形パナソニックの脱炭素化に向けた取組」

講師:山形パナソニック株式会社 CS・エンジニアリング事業部 エンジニアリングセンター事業開発課 大沼克行氏

●ZEB推進
ZEB(Net Zero Energy Building)
ZEBプランナーとして、エネルギー消費量ゼロを推進する。

●省エネ診断
空調・証明・デマンド設備の診断・提案

●再エネ推進
太陽光発電設備の提案

★「エコアクション21及び省エネルギー相談プラットフォーム構築事業について」
講師:特定非営利活動法人環境ネットやまがた 事務局次長 長岡修一氏 主任 河合麻衣氏

●省エネお助け隊とは
・経済産業省資源エネルギー庁の令和5年度 中小企業等エネルギー利用最適化推進事業費(地域プラットフォーム構築事業)の採択を受けた、地域密着型の省エネ支援団体です。
・省エネお助け隊には、省エネの専門家、経営の専門家が登録しており、各事業所のお悩みに合わせて、適切な専門家を派遣します。エネルギー使用状況の把握から省エネ計画の推進・実施・見直しまで、一貫して中小企業の取組をきめ細やかに支援します。

●省エネ診断とは
専門資格(エネルギー管理士など) を持った診断員がエネルギー使用状況を確認することによって、エネルギーの合理的な (効果的な) 使用のアドバイスを行うことです。企業の状況によって異なりますが、 5%~40%の削減ポテンシャルを抽出できます。対策案としては、 投資が必要なものもありますが、 初期投資不要の運用改善も多数あります。

●省エネ診断の手順
1. 事前ヒアリング
2. 診断前打合せ
3. 現地調査
施設の規模にもよりますが、 2時間~1日程度かけて行います。
施設の概要、 主要な設備、 稼働時間などエネルギーに関する事項に関してヒヤリングを行い、生産フローに沿って現物を確認します。
設備 (空調、照明、 換気、 給湯設備) は温度設定や明るさなどを確認します。
4. 診断結果報告

総括

脱炭素社会へ向けて大きく社会は動き出しており、様々な施策や制度が整ってきています。
多くの会社では、ISO14001要求事項の達成や省エネ対策、ペーパレス化などで動いてはいるものの
会社全体としての意識は低く、カーボンニュートラル達成までにはかなりの距離があります。
再エネの導入やJクレジットなどの活用、社員への啓蒙活動などが必要だと感じています。
今は少しずつ知識や情報を得ながら、カーボンニュートラルに向けて進んでいく必要があるでしょう。

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