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人類進化の謎を解き明かす/ロビン・ダンバー

  • サルとヒトとの違いは認知能力の違いにある。より高い認知能力を持つことにより類人猿は人類となった。
  • 霊長類は集団で暮らすことで外敵から身を守り、団結し他者を守ることで社会性は深まった。しかし複雑になった共同体の維持にも時間を割かなければならなくなった。
  • 気のおけない仲間を維持できる上限は、ほぼ150人であり、新石器時代の村落から現代のソーシャル・ネットワークに至るまで当てはまることが実証されている。
  • 人類は火を使うことにより、活動時間を延長し、摂食の時間と共同体維持の時間の確保に成功した。

人類とはなにか

人類と類人猿の違い

類人猿と現在の人類の本質的な違いは何か。それは直立二足歩行や道具を使いこなす能力にあるのだろうか。確かに道具の制作や使用は、人類と類人猿を区別する一因ではある。しかし、これらの行動は本質的な違いを示すものとしてはそれほど重要ではない。例えば、カラスも道具を作り使うが、その脳の大きさはチンパンジーの数分の一に過ぎない。

本質的な違いは「認知能力」にあり、私たちが「頭の中で」できることにこそ存在する。この「認知」によって、私たち人類は文学や芸術といった高度な文化を生み出すことができたのである。

「宗教」と「物語」

人類特有の文化的側面は二つあり、それは宗教と物語である。この二つは、他の生物には見られない人類ならではの特徴である。そして、宗教や物語の活動・実践には、言語が欠かせない。精緻な言語を使いこなすことができるのは、他のどの種にもない人類だけの特権である。

宗教と物語はいずれも、日常の世界とは異なる別の世界の存在を想像しなければ成立しない。こうした特異な認知的な行動は、進化の単なる副産物ではなく、人類の進化において極めて重要な役割を果たす能力である。これらの文化活動を支えるのは、私たちの大きな脳であり、他の大型類人猿と私たちを分けるものは、まさにこの脳に他ならない。

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霊長類の社会の絆

共同体の利点とコスト

霊長類は社会的な生き物であり、長期間にわたって安定した群れを形成する。その主な理由は、捕食者から身を守るためである。森を抜けて開けた土地に住むようになると、捕食者に捕まるリスクが高まるため、このリスクを軽減するために、いざという時に団結し、仲間を助けることが重要になる。このため、共同体の規模は大きくなり、相互のつながりを深めて社会関係を維持していく。

しかし、この社会的な構造にはコストも伴う。共同体の全メンバーに食料を行き渡らせる必要があり、そのためには大量の食糧が必要となり、それを探すために多くの時間を費やさなければならない。また、メスには特有の負担がかかる。集団生活に伴うストレスは、メスの月経周期に影響を与え、最終的に不妊を引き起こすことがある。多くのメスは、より小規模な共同体での生活を望み、共同体のサイズが増えるのを抑制する要因となる。したがって、共同体を拡大するためには、こうしたストレスを軽減する必要がある。

共同体の維持のための毛づくろい

サルや類人猿が共同体を維持するためにストレスを解消する方法として、「毛づくろい」が重要な役割を果たすことが知られている。毛づくろいを行うと、脳内でエンドルフィンが分泌され、これが穏やかな脳内麻薬作用を引き起こし、軽度の鎮痛効果や快感をもたらす。この反応は、愛着を形成する過程に深く関係しており、特に人類を含む類人猿において強い絆を作り上げる要因となっていると考えられている。

共同体の維持において「毛づくろい」は非常に重要であり、共同体が大きくなると、その活動に費やされる時間も増える。しかし、大きな共同体ではすべてのメンバーに毛づくろいをするわけではなく、むしろ共同体が大きくなるにつれて、毛づくろいを行う相手の数は減少する。これは、共同体の規模が大きくなることでストレスが増し、より緊密な関係を持つ相手が必要になるためである。

社会脳仮説と時間収支モデル

行動の複雑さと脳の大きさの関係

社会脳仮説とは、脳の大きさと社会の規模や複雑さが相関しているという考え方である。言い換えれば、脳の大きさからその種の社会の規模を予測できるということだ。

一般的に、霊長類の脳が進化する原動力として、複雑な社会性の進化が重要だと考えられている。複数のつがい相手を持つ種や、交尾が自由な種と比較して、単婚制の種は脳が大きい。特に、生涯を通じて同じ相手と結びつく種においては、この傾向がより顕著である。つがいを作る個体は、相手の利益も考慮して行動する必要があり、そのためには高度な認知能力が求められる。

霊長類や一部の哺乳類(例えばゾウやウマなど)でも、脳が大きい種は社会集団の規模が大きく、強い社会的つながりを持っている。この社会的つながりとは、単なる性行為や繁殖の関係を超えた友情や強い親しみを伴う関係である。

このような複雑な社会を維持するためには高い認知能力が必要であり、その認知能力を支えるのが脳の大きさである。つまり、脳の大きさからその種の社会集団の規模を推測することができるのである。

ヒトの典型的な集団は150人

社会脳仮説を基に人類の社会規模を計算すると、約150人という数字が導き出される。一見すると少ない人数に感じるかもしれないが、歴史を振り返ると、これは非常に妥当な数字であることがわかる。例えば、村落や様々なキリスト教の教会区、企業組織、軍事組織などを見てみると、150人程度の集団が一般的である。近代の軍隊では、独立して行動できる最小単位は中隊で、平均してちょうど150人の規模である。また、ある調査によると、クリスマスカードを送る相手の平均人数は154人だった。さらに、ツイッターのアカウントでつながっている人数も大体100~200人に収まっている。

私たちはほとんど全員が150人以上の人々を知っているが、その中でも150人の層とそれ以上の外側の層には大きな違いがある。この150人を超える外側の人々は、通常ただの知人として認識されるにすぎない。150人の内側と外側には明確な違いがあり、現生人類や類人猿の集団は、このように幾重にも分かれた階層構造を持っているのである。

時間は無限ではない

動物が生きていくためには、食べ物、休息、そして社会的なまとまりが必要だ。食べ物を探し、社会的な絆を深めるために毛づくろいを行い、また十分に休まなければならない。しかし、時間は有限であり、動物はその限られた時間をどのようにやりくりするかが重要になる。

類人猿は、常にこの問題に直面してきた。大きな脳を維持するためには十分な食べ物が必要であり、脳が大きくなることで社会も複雑になる。複雑な社会を維持するためには、毛づくろいなどの社会的な絆を深める行為が不可欠となる。共同体が大きく、複雑になるほど、食べ物を探す時間や毛づくろいの時間が増え、その分だけ効率的に時間を使わなければならなくなる。しかし、時間は限られている。では、類人猿はこの「時間収支」の問題をどのように乗り越えてきたのだろうか。

この問題の解決には、社会的な活動と生存に必要な行動をバランスよく調整する方法が進化の中で培われたと考えられる。例えば、社会的な絆を深めるための毛づくろいは、ただの時間の浪費ではなく、集団内の協力や信頼を築くための重要な手段として機能している。また、食べ物の探し方や集め方、分け合う方法も効率化され、時間の使い方に工夫がなされてきたのだろう。

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料理と音楽

料理を作り食卓を囲む効果

Happy family communicating during lunch time in dining room. Focus is on kids.

約30万年前を境に、類人猿の脳の大きさが急激に増加した。この時期は、火の使用が始まった直後であり、人類は火を使って肉を料理する能力を得たことで、栄養素の吸収が飛躍的に向上した。例えば、肉やじゃがいものような塊茎を火を通して調理すると、栄養素の吸収効率は50%も増えると言われている。これにより、効率的に栄養を摂取できるようになり、食事にかける時間を短縮できたのである。

さらに、料理には予想外の効果があった。食べ物を摂るとエンドルフィンが分泌されるため、満腹感を得るとくつろいだ気分になる。このことが、食事を通じて心地よい感覚を生む理由かもしれない。料理をすることにより、自然と大勢で食事を共にするようになり、これが社会的結束を強める要因となった。食卓を囲んで料理を共にすることで、互いの絆が深まったのである。

このように、火を使った料理は、類人猿が効率的にエネルギーを獲得し、社会的行動にかかる時間を節約する手段となった。そして、この時間の節約が脳の発達を促し、脳容量の増加を後押ししたのである。

毛づくろいとしての音楽

しかし、料理だけでは共同体の規模拡大には限界があり、さらに多くの人々を巻き込む社会的な行為が必要となる。それが音楽である。

音楽は呼吸を制限する必要があり、胸壁筋や横隔膜に大きな負担をかけるが、その結果としてエンドルフィンの分泌を促進する効果がある。メロディを口ずさむことは、分節化や構音、区切り方、共時性など、多くの要素を言語と共有しており、笑いと同様に、言語をつなぐ架け橋となる。

さらに、音楽は多くの人々を巻き込むことができるため、「毛づくろい」を行う相手の数を劇的に増やすことができる。歌ったり、楽器を演奏したり、踊ったりする音楽活動は、明確な共時性を持ち、集団の絆を強めるのに役立つ。同じタイミングで声を合わせたり、リズムを取ったりすることによって、より大きな規模で社会的絆を形成することが可能になる。

このように、料理と音楽は、食事にかかる時間と社会的な行為にかかる時間を効率的に節約し、人類が時間収支の危機を乗り越えるために重要な役割を果たしたのである。

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現生人類はなぜ繁栄したか

火のもたらす作用

考古学の文献では、火の重要性について一般的に2つの機能、すなわち「料理」と「暖かさ」が主に扱われている。火が料理の進化にとって不可欠であったことは間違いない事実である。

しかし、火にはもう一つ別の重要な利点がある。それは、1日の活動時間を延ばすための人工的な灯りとなることだ。冬期の日照時間が短くなる高緯度地域ではもちろん、熱帯地方でも、もし12時間の活動時間を少しでも延ばせるなら、その時間的な圧力は大きく軽減される。

サルや類人猿にとって、夜は何の役にも立たない時間である。霊長類は夜間視力が弱く、あたりが暗くなると、ただ寝るしかない。しかし、火を使うことによって、道具を作ったり、重要な社交活動に参加したりするための時間が稼げるようになる。これにより、日中に食べ物を探すなどの活動にかける時間を確保しながら、夜間にも有効な活動時間を持つことが可能になる。

現生人類は平均しておよそ8時間眠るが、火を使うことで、たき火の周りで他の活動に約4時間をあてることができるようになる。このように、火を使うことで活動時間を延ばし、人類は時間に余裕を持てるようになったのである。

たき火を囲んだ物語

私たち人類の直接の祖先である旧人たちは、集団の規模を拡大する方法として、歌と踊りを進化させたと考えられる。これらの活動は、夜間に行われることが多かったと推測される。実際、伝統的社会では、踊りはほぼ普遍的に夜の活動として行われていた。私たち現代人でさえ、昼間にダンスをしても、夜ほどの興奮や興味を感じることは少ないだろう。夜には、心理的に特別なものがあるように感じられる。これは物語にも当てはまる。

薄暗い中でたき火を囲む時、視覚的に伝えられる情報が限られるため、音声の重要性が増す。このような状況が言語の進化を促したのではないかと考えられる。また、たき火を囲んだ会話には、物語を作る機会を与えるという重要な側面もある。

物語は社会の歴史を構築し、共通の歴史によって結びついた共同体がどのように形成されたかを理解するための手段となる。物語では、目に見えない世界について話すこともできるため、作り話や宗教が成立する基盤となる。

たき火を囲む団らんは、料理や活動時間の延長だけでなく、言語の進化を促し、物語という高度な認知能力の発達をも促したのではないかと考えられる。このように、夜間の活動は、単なる食事や社会的なつながりを超えて、人類の認知的・文化的進化において重要な役割を果たしたといえるだろう。

まとめ

猿人類の脳の増大と共同体の関係から出発し、社会脳仮説や時間収支モデルの概論に触れた後、ヒトの心や社会ネットワークがどのように進化してきたのか。また、歌や踊り、音楽、血縁、婚姻、言語、物語、宗教などがいかに生まれ、どのような役割を果たしてきたかが克明に記されています。

これらは、認知や社会の新たな側面から人類の本質を明らかにしようとするもので、詳細なデータに基づいています。また、社会脳仮説や時間収支モデルに関する考え方や計算方法も具体的に示されており、本書を通して人類進化の謎を解き明かす手法を理解し、人類の本質についてより深く学ぶことができます。

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