京都にあるヴィパッサナー瞑想センター、ダンマバーヌでは不定期で奉仕作業とグループ瞑想を行うワークデイが開催されています。今回は、2021年度にワークデイに参加した際の体験記です。
ヴィパッサナー瞑想とは?
自分自身の現実を直接経験する自己観察の実践法、それがヴィパッサナー瞑想です。
「ものごとをありのままに見る」という意味のヴィパッサナーは、インドの最も古い瞑想法のひとつです。この瞑想法は2500年以上も昔、インドで、人間すべてに共通する病のための普遍的な治療法、すなわち「生きる技」として指導されました。
ブッダの時代のインドでは、 パッサナー(passana) とは、目を開けてものごとを見ることを意味しました。 ヴィパッサナー とは、ものごとの表面だけでなく、ありのままを観察するという意味です。見せかけの真実に惑わされることなく、精神と肉体の構造における究極の真理に至ることです。この真理を体験するとき、人は盲目的に反応することをやめ、心に汚濁を生み出すことをやめます。そうすると自然に、過去に生み出された汚濁も浄化されていきます。やがては、すべての苦しみから解き放たれ、真の幸福を体験します。
なお、ヴィパッサナー瞑想コースはゴエンカ氏が体系をまとめて、コースとしたもので、瞑想中に流れるテープの声は全てゴエンカ氏です。
サティア・ナラヤン・ゴエンカ
サティア・ナラヤン・ゴエンカは、ミャンマー出身のヴィパッサナー瞑想の在家指導者。レディ・サヤド系の瞑想法の伝統を、その孫弟子にあたるサヤジ・ウ・バ・キンから受け継ぎ、欧米・世界に普及させた。
ヴィパッサナー瞑想法は合宿の十日間コースで指導されます。参加者は、10日の間、瞑想法の基本を学び、この技の恩恵を実感できるように十分に実践します。合宿コースの参加にあたり、瞑想の経験は必要ありません。
なお、十日間コースを修了したものは古い生徒となり、短期間のコースやセンターの様々な作業(奉仕活動)を行うワークデイなどにも参加できます。
今回は5日間のワークデイに参加しました。
開催場所
コースは、日本にあるヴィパッサナー瞑想センターで行われます。日本にはセンターが二ヵ所あります。京都府船井郡京丹波町ダンマバーヌ・センターと千葉県長生郡睦沢町ダンマーディッチャ・センターです。コースは年間を通じて行われています。
今回は、京都のダンマバーヌ・センターに行きましたが、ものすごい山奥で携帯電話の電波も入りません。
最寄りの園部駅から20キロも離れているので、バスと送迎車にてセンターに向かいます。
そのくらい静かな環境の方が瞑想には適しているのでしょう。
ダンマバーヌ
〒622-0324
京都府船井郡京丹波町八田岩上奥2-1
URL: https://jp.dhamma.org/ja/
電話: 0771-86-0765
Fax: 0771-86-0460
メール: info@bhanu.dhamma.org
ワークデイコースのスケジュール
ワークデイではグループ瞑想と奉仕活動を行います。
十日間コースでは携帯電話や筆記用具・書籍等も全て没収され、ひたすら沈黙を守らなければなりませんが、ワークデイではわいわい楽しく過ごすことができます。おおよそのスケジュールは下記のようになっています。
6:00: グループ瞑想
7:00: 朝食
8:30:グループ瞑想
9:30:ミーティング、奉仕活動
12:00:昼食
14:30: 奉仕活動
17:00: 片付け
17:30: 夕食
19:00: グループ瞑想
20:00: 休憩
21:00: 就寝
なお全てのコースは寄付のみによって運営されております。合宿の参加費用は食費、宿泊費を含めて、一切請求されません。すべての経費は、コースを終了し、ヴィパッサナーから恩恵を受けた人たちの「他の人たちにもこの機会が与えられるように」との思いから行う寄付によってまかなわれております。瞑想の指導者も何ら報酬を受け取りません。また合宿コースの運営メンバーも全員ボランティアとして参加しております。
ダンマバーヌ・センター
今回は、18きっぷ金沢・福井・広島・姫路・京都の坐禅巡りの旅の最終目的地でした。
大乗寺の概要 大乗寺(だいじょうじ、大乘寺)は、石川県金沢市長坂町にある曹洞宗の寺院。山号は東香山、椙樹林、古くは金獅峯。僧堂がある。江戸時代にここで清規(僧侶の修行規則)が再構築され、規矩大乗と称された。周防正行監督、本木雅弘主演[…]
長い旅路を経て、はるばるとダンマバーヌ・センターにやってきました。
センターに到着したら受付を済ませ、自室にて1時間の瞑想をおこなってから奉仕活動に参加します。
左側は宿舎です。
自室内部です。シャワー・洗面台が完備され快適に過ごすことができます。
奉仕活動
奉仕活動には、園芸(花壇の手入れ・草取り等)やセンター内の清掃、洗濯、大工仕事(ペンキ塗り・補修等)など様々なものがあります。
センター長(ケアテイカー)の方がだいたいの作業内容を指示してくれるので、それに従いグループごとに奉仕活動を行います。今回私は大工仕事グループとなりました。
様々な工具が揃っています。
柵の補修とペンキ塗りを行いました。
食事
食事はセンター二階の食堂にて摂ります。席は決まっており、自前で用意した食器に取り分けて食べます。
食べ放題ですが、他の人の分も考えて取りましょう。 なかには、何回もお代わりをする食いしん坊もいました (笑)
食事は全てベジタリアン仕様です。肉や魚はありません。精進料理と同じですが、とても美味しくて身体にも優しいです。
マクロビオティック食は、ジョージオオサワと呼ばれる日本の哲学者によって最初に開発されました。彼は、食事や運動から瞑想まで、さらには特定の食品の「陰と陽」のエネルギーまで、多くのライフスタイルの側面を組み込んだ健康への全体的な体系作り、マク[…]
ダンマバーヌ・センターの風景
ダンマバーヌは京都の山奥にあります。空気がとてもきれいで、夜にはたくさんの星も見えます。
近くに湧き水が流れており、この水がすごいです。一口飲みだけで、身体が浄化されるような非常に不思議な水です。この水は食事や休憩の際にも提供されます。
夜は真っ暗になるので、懐中電灯やヘッドライトが必要です。
朝の風景。大地のエネルギーを身近に感じることができます。
瞑想の利点は広範であり、科学に裏打ちされています。瞑想のメンタルヘルスの利点には、集中力と集中力の向上、自己認識と自尊心の向上、ストレスと不安のレベルの低下、優しさの促進などがあります。瞑想は、痛みに対する耐性を高め、薬物中毒と戦うのに役[…]
最終日に収納棚を製作
センターにて、収納棚が必要という事で廃材を利用して収納棚を製作しました。私は以前、展示大工やテレビ局での大工経験があったので、依頼されました。
アシスタントに若い青年がついてくれました。
数時間の作業後に収納棚が完成しました。
この収納棚は今後、センターで使われ続けることでしょう。
センター内にある桜🌸
季節は4月中旬。センター内にある桜も咲き始めていました。
最終日、みんなで桜の木に向かい、桜の下で記念撮影をしました。
まとめ
誰もが安らぎと調和を求めています。 それが私たちの生活に欠けているからです。私たちは時として心を乱され、苛立ち、調和を失い、苦悩します。そして、乱された心は自らの内に留まらず、他人をも巻き込もうとします。惨めな人の乱れた心は周りの空気をも惨めにします。周りにいる人たちのすべての心を乱し、苛立たせます。これが正しい生き方であろうはずがありません。
人は自らの内に、そして他の人との間にも、調和をもって生きて行かねばなりません。人間は社会的動物であり、社会に生き他の人と交わって生きて行かねばならないのですから。では、調和を持って生きるにはどうすればよいのでしょうか。どうすれば私たちの内に調和を見い出し、周囲とも調和を保つことができるでしょうか。どうすれば他の人もまた、調和と安らぎをもって生きられるよう助けることができるでしょうか。
苦しみから脱するためには、 それを生み出している原因を知らねばなりません。苦悩の原因は何なのでしょうか。問題の答えを探るにつれ、やがてはっきりとしてきます-心に否定的な感情、反意を生むとき、苦しみが生まれるのです。反意、つまり心の汚れは、安らぎや調和と共存することはできません。
このヴィパッサナー瞑想がそれを解決するひとつの手段となりえるでしょう。
ワークデイでの奉仕活動と瞑想を終え、心がとても満たされています。
安らぎや調和、そして幸福を感じています。
ぜひ皆様にもこの体験をして頂きたいと思っております。
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