硫化リン | 三硫化りん、五硫化りん、七硫化りん |
赤リン | 赤褐色の粉末、400℃で昇華 |
硫黄 | 水に不溶。二硫化炭素に可溶。燃焼で有毒な二硫化硫黄を発生 |
鉄粉 | 灰白色の粉末。アルカリに溶けない。水分で発火 |
金属粉 | アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、マグネシウム、銅粉、ニッケル粉を除く |
マグネシウム | 銀白色の軽く柔らかい金属。白光で激しく燃焼 |
引火性固体 | メチルアルコール固体、エチルアルコール固体、ゴムのり |
第2類に共通する特性の重要ポイント
共通する性状
- 固体の可燃性物質である。
- 一般に比重は1より大きく、水に溶けないものが多い。
- 燃焼の際、有毒ガスを発生するものがある。
- 酸化されやすい(燃えやすい)物質である。
- 酸化剤と混合すると、発火、爆発することがある。
- 酸, アルカリに溶けて (反応して) 水素を発生するものがある。
- 微粉状のものは、空気中で粉じん爆発を起こしやすい。⑥のように、酸にもアルカリにも溶ける (反応する) 元素を両性元素とい い, アルミニウムや亜鉛などが該当します。
貯蔵および取扱い上の注意
- 火気 (炎や火花など) や高温体との接触 および加熱を避ける。
- 酸化剤との接触や混合を避ける。
- 一般に,防湿に注意して容器は密封 (密栓) する。
- 冷暗所に貯蔵する。
- その他
・鉄粉 金属粉およびマグネシウム(またはこれらのものを含有する物質)は水や酸との接触を避ける。
・引火性固体にあっては, みだりに蒸気を発生させない。
共通する消火の方法
- 一般的には,水系の消火器 (強化液, 泡など) 冷却消火するか、また は乾燥砂などで窒息消火する。
- 注水により発熱や発火するもの (鉄粉, 金属粉, マグネシウム粉など)や有毒ガスを発生するもの(硫化リン)には、乾燥砂などで窒息消火する。
第2類に共通する特性のまとめ
共通する性状 | 可燃性固体で一般に比重は1より大きく、水に溶けないものが多 い。 また, 酸化されやすく、酸化剤と混合すると発火, 爆発する 危険性がある。 |
貯蔵, 取扱い方法 | 火気, 加熱, 酸化剤を避け、密栓して冷暗所に貯蔵する。 |
消火方法 | 注水消火するものや注水厳禁なものなど, 各物質によって異なる。 |
第2類危険物に属する各物質の 重要ポイント
硫化リン (硫黄とリンが化合した物質)
主な 物質名 | 形状 | 比重 | 発火点 | 融点 | 自然 発火 | 粉じん爆発 | 消化 |
三硫化リン | 黄・結 | 2.03 | 100℃ | 173℃ | なし | なし | 砂 粉末 CO2 |
五硫化リン | 淡黄・結 | 2.09 | 290℃ | ||||
七硫化リン | 淡黄・結 | 2.19 | 310℃ |
結:結晶
性状
- 黄色又は淡黄色の結晶である。
- 融点は,三硫化リン<五硫化リン<七硫化リン, という順に高くなる。
- 三硫化リンは水には溶けない。
- 二硫化炭素に溶ける。
- 三硫化リンは熱水と, 五硫化リンは水 (冷水) と, 七硫化リンは冷水, 熱水とも反応して, 可燃性で有毒な硫化水素 (HS) を発生する。
- 燃焼すると, 有毒ガス (亜硫酸ガスSO2など) を発生する。(注:五硫化リンは五硫化ニリンともいう)
貯蔵, 取扱い法
・水や金属粉などと接触させない。
消火方法
- 水は厳禁。
- 乾燥砂 (または粉末消火剤か二酸化炭素消火剤)で消火する。
赤リン
主な 物質名 | 形状 | 比重 | 発火点 | 融点 | 自然 発火 | 粉じん爆発 | 消化 |
赤リン | 赤褐・粉 | 2.1~2.2 | 260℃ | 600℃ | △ | あり | 水 砂 |
粉:粉末
性状
- 赤褐色の粉末で, 無臭で無毒である。
- 水にも二硫化炭素にも溶けない。
- 自然発火はしないが、 黄リンを含んだものは自然発火の危険性がある。
- 黄リンの同素体で黄リンよりも不活性である(⇒安定している)。
- 燃焼すると, 有毒なリン酸化物を発生する。
消火方法
- 注水による冷却消火
- 乾燥砂で窒息消火する。
硫黄
主な 物質名 | 形状 | 比重 | 発火点 | 融点 | 自然 発火 | 粉じん爆発 | 消化 |
硫黄 | 黄・個/粉 | 2.07 | 232~360℃ | 113℃ | なし | なし | 水 土砂 |
固:個体 粉:粉末
性状
- 黄色の固体または粉末で,無味、無臭である。
- 主な同素体に斜方硫黄, 単斜硫黄, 非晶形, ゴム状硫黄などがある。
- 水には溶けないが, 二硫化炭素には溶ける。
- エタノール, ジエチルエーテルには,わずかしか溶けない。
- 燃焼すると,有毒な二酸化硫黄(SO2 亜硫酸ガス) を発生する。
(*無臭について: 温泉地での 「硫黄の臭い」というのは,正確には「硫化 水素の臭い」 である)。
貯蔵, 取扱い法
- 空気中に飛散させない。
- 静電気対策をする。
- 塊状の硫黄は, 「麻袋, わら袋」 粉末状の硫黄は, 「二層以上のクラフト紙, 麻袋」 などの袋に入れて貯蔵する。
消火方法
水 (噴霧注水) と土砂により消火する。
鉄粉
主な 物質名 | 形状 | 比重 | 発火点 | 融点 | 自然 発火 | 粉じん爆発 | 消化 |
鉄粉 | 灰色/粉 | 7.86 | なし | 1535℃ | あり | あり | 砂 金属消火剤 |
性状
- 灰白色の粉末である。
- 水, アルカリには溶けない。
- 酸に溶けて水素を発生する。
- 微粉状のものは, 空気との接触面積が大きいので、 発火 (爆発) する危険性がある。
- 鉄粉のたい積物は,空気との接触面積が小さいので,酸化されにくい。
- 湿気により酸化し, 発熱することがある。
<鉄粉のたい積物について〉
・空気を含むので熱が伝わりにくくなる。
・単位重量当たりの表面積が小さいので,酸化されにくい。
・水分を含むたい積物は,酸化熱を内部に蓄積し、発火することがある。
消火方法
- 乾燥砂等か金属火災用粉末消火剤で消火する。
- 加熱したものに注水すると爆発する危険性があるので 注水は厳禁!
金属粉
主な 物質名 | 形状 | 比重 | 発火点 | 融点 | 自然 発火 | 粉じん爆発 | 消化 |
アルミニウム粉 | 銀白・粉 | 2.7 | 550~640℃ | 660℃ | あり | あり | 砂 金属消火剤 |
亜鉛粉 | 灰青・粉 | 7.14 | 419℃ |
性状
- (アルミニウム粉)銀白色の粉末で,比重は1より大きい。
(亜鉛粉)灰青色の粉末で,比重は1より大きい。 - 水には溶けないが, 両性元素なので,酸, アルカリ (水酸化ナトリウム など) 双方に溶けて水素を発生する。
- 水と反応して水素を発生し、爆発することがある。
- 空気中の水分や湿気と反応して発火することがある (下線部⇒「自然発 火する」と表現する場合もある)。
- 空気中で浮遊すると、粉じん爆発することがある(粒子どうしの接触に よる静電気火花や摩擦熱等により)。
- (亜鉛粉)水分を含む塩素と接触すると, 自然発火す ることがある。
貯蔵, 取扱い法
水分やハロゲンとの接触を避ける。
消火方法
乾燥砂か金属火災用粉末消火剤で消火する (注水は厳禁!)。
マグネシウム
主な 物質名 | 形状 | 比重 | 発火点 | 融点 | 自然 発火 | 粉じん爆発 | 消化 |
マグネシウム | 銀白・粉 | 1.74 | なし | 650℃ | あり | あり | 砂 金属消火剤 |
性状
- 銀白色の軽い金属である。
- 製造直後のものは,酸化被膜が形成されておらず 発火しやすい。
- 燃焼すると, 白光を放って高温で燃え, 酸化マグネシウムを生じる。
- 水とは徐々に,熱水とは激しく反応して水素を発生する。
- 空気中で浮遊すると, 粉じん爆発することがある (粒子どうしの接触に よる静電気火花や摩擦熱等により)。
貯蔵, 取扱い法
水分や酸との接触を避ける。
消火方法
乾燥砂か金属火災用粉末消火剤で消火する (注水は厳禁!)。
引火性固体
性状
- 固形アルコールその他1気圧において引火点が40℃未満のもので いずれも常温(20℃) で引火する危険性がある。
- 常温 (20℃)で可燃性ガスを発生する。
- 固形アルコール
・エタノールまたはメタノールを凝固剤で固めたもの (圧縮固化ではないので注意), アルコールと同様の臭気がある。
・40℃未満で可燃性蒸気を発生し, 引火しやすい。 - ゴムのり
・生ゴムをベンゼンなどの石油系溶剤に溶かした接着剤である。 - ラッカーパテ
・トルエン、酢酸ブチル、ブタノールなどを成分とした下地修正塗料である。
消化方法
泡消火剤, 二酸化炭素消火剤, ハロゲン化物消火剤 粉末消火剤などを用いて消火する。