- 働き方は多様化している。幸せに生きるには、固定観念を捨てて選択肢を増やすことが大切だ。
- 自分が満足だと思える暮らしには、何が必要で不要なのか。そのラインを知ると、がんばりすぎたり自分を追い込んだりすることがなくなる。
- 人生には「開拓力」が必要だ。いまの環境が悪くても自ら行動を起こすことで、人生を切り拓くことができる。
- 「この資格を持っておけば安泰」という時代は終わった。
- 英語力アップの秘訣は、「とにかく海外に行くこと」である。
「最強の働き方」の本質とは
時代の変化とともに変わる働き方の理想像
かつての日本では、有名大学を卒業し大手企業に入社して定年まで勤め上げるという画一的なキャリアパスが、安定した生活への確実な道だった。だが現代においては、この前提が大きく揺らいでいる。企業や国の持続的な成長を当てにできない時代になったのだ。
日本特有のメンバーシップ型雇用も限界を迎えつつある。少子化により新卒採用が困難になり、さらに育成した人材がすぐに他社へ移ってしまうという課題が顕在化している。
こうした状況を背景に、職務内容に応じて最適な人材を採用するジョブ型雇用が広がりを見せている。職務範囲、成果目標、報酬、勤務地といった条件を明確にして雇用契約を結ぶため、雇用する側もされる側も互いの期待を率直に伝えられる。自らキャリアを設計したい人、成果に応じた報酬を求める人、専門スキルを磨きたい人にとって、著者はこの働き方が理にかなっていると指摘する。
人生における選択の幅を広げる重要性
働き方の多様化は今後ますます加速するだろう。フリーランスとして働く人は急速に増え続けているし、起業のハードルも以前に比べて大幅に下がった。公務員や金融機関、大企業の正社員が「成功の王道」とされた時代は終わりを告げようとしている。
「勝ち組」「負け組」という二項対立的な考え方も手放すべきだ。現在、若くして高収入を得ている人たちを見ると、コンテンツ制作者、アプリ開発者、ベンチャー企業の創業者など、従来の成功ルートから逸脱した人ばかりである。
そもそも「高収入=成功」という等式自体が成り立たなくなっている。必要最小限の収入を得ながら、地方で穏やかな生活を送る選択をする人も増加傾向にある。他者が定義する成功・失敗の基準ではなく、自分自身が何を幸せと感じるかを追求することが重要だ。
ここで鍵となるのが「選択肢の拡大」という考え方である。働き方、労働時間、居住地など、あらゆる面で複数の選択肢を持つこと。そうすることで社会の変動や所属組織の状況に振り回されることなく、自分が本当に幸せだと感じられる人生を歩めるのではないだろうか。
目標を達成する人は「必要か不要か」で判断するが、達成しない人は「好き嫌い」で判断する。 目標設定の際は、頑張れば達成できる「行動」を取り入れることが望ましい。 仕事は常に順調とは限らない。目標を達成する人は、最悪のケースも想[…]
働く意味を見つめ直す
なぜ私たちは働くのか

働く理由について問われたら、あなたはどう答えるだろうか。社会貢献、自己成長、夢の実現——さまざまな答えがあるだろう。だが本質的には「生活の糧を得るため」というシンプルな理由に行き着く。極端に言えば、生活に困らなければ働く必要はないのだ。
もちろん、人には社会との関わりを求める気持ちがある。しかし経済的な余裕があれば、ボランティアという選択肢もある。結局のところ、私たちは充実した暮らしを実現するために働き、その手段として収入を得ているに過ぎない。
効率的に稼ぐという発想
現代の若者たちは、会社のために人生を犠牲にする働き方を避けたいと考えている。組織に属しながらも、自分らしさは保ちたい。そのため必要最小限の労力で済ませようとする傾向がある。「静かな退職」という言葉が注目を集めているのも、その表れだろう。
ただし、努力を放棄しすぎると収入は伸び悩み、30代になって焦りを感じることになりかねない。
そこで重要になるのが「効率的に稼ぐ方法を考える」という視点だ。少ない労力で昇進する戦略を練る、自分の価値が認められやすい職場を選ぶ、業務を自動化・マニュアル化するなど、工夫の余地は多い。
「効率的に稼ぐ」とは「楽をする」こととは違う。知恵を絞る必要があるし、時にはリスクを取ったり積極的に動いたりする必要もある。「効率的」というのは「賢く」「戦略的に」という意味であり、それを実現するには相応の工夫と努力が求められる。
幸せになるためのシンプルな方法
働き方に不安を感じる人は少なくない。楽観的に見えるという著者も、実は慎重派だという。著者の対処法は、起こりうる最悪のシナリオを想定し、「事前に受け入れる」「現実と戦わない」「悪い出来事も許容する」というものだ。
心配性な人が幸福を手に入れる鍵は「不要なものを見極める」ことにある。満足できる暮らしを続けるには何が必要で、何が不要なのか。その最低ラインを把握しておく。これが分かれば、過度に頑張ったり自分を追い詰めたりすることはなくなる。
現在パリで暮らす著者は、有名店での食事も経験したが、結局「自炊が一番」という結論に至り、マルシェで食材を調達する日々を送っている。ペットボトルは買わず、日本に戻った際もコンビニではなく安いスーパーを利用する。こうした生活スタイルのおかげで、仮に財産を失っても「また稼げばいい」と思える心の余裕がある。
お金は生きるために必要だが、お金そのものが幸せをもたらすわけではない。欲望をコントロールしながら好きなことをして生きられれば、誰もが幸せになれるのではないだろうか。
インデックス投資とは、世界中に分散したインデックスファンドを積み立て投資して長期保有する投資法である。一度、銘柄と金額を設定すれば、あとは寝かせておくだけでよい。そのため、空いた時間で人生をより豊かにすることができる。 インデック[…]
「人生を切り拓く人」に共通する力とは

自分で道を開く力が人生を豊かにする
人生の選択肢は豊富な方が望ましい。自ら道を切り拓く力があれば、目の前に良い選択肢がない状況でも、積極的に動くことで新たな可能性を生み出せる。
今置かれている状況が厳しくても、「自分にできることがあるはず」と考えを切り替えることで、新しい道は必ず見えてくる。
人生を切り拓くのが得意な人には、5つの特徴が見られる。(1)自ら学ぶ力、(2)すぐに動く力、(3)失敗への耐性、(4)柔軟な思考、(5)人間関係を築く力。ここでは特に最初の3つについて詳しく見ていこう。
(1)自ら学ぶ力
人生を自由に切り拓くために不可欠なのが「自分で学ぶ力」だ。この力さえあれば、どんな状況でも対応できると著者は語る。
著者はかつてインターネット掲示板「2ちゃんねる」を創設した。専門的なコンピュータ知識もなく、著名なエンジニアでもなかった。持っていたのは子供の頃、BASICという言語で簡単なゲームを作った経験のみ。それでも「やれば何とかなる」と独力でプログラミングし、サービスを世に送り出した。「挑戦したら実現できた」のである。
現代では、身近に指導者がいなくても、インターネットや動画サイトで知識を得られる。毎日1時間の学習を30日間続けるだけでも、想像以上の成長が期待できる。
(2)すぐに動く力
行動とは「実行するかしないか」という選択であり、「成功するか否か」とは別の話だ。
例えば、「容姿も性格も悪くないのに恋人ができない」と悩む人の多くは、実際に行動していない。結果はどうあれ、告白しなければ現状は変わらない。相手が「イエス」なら万々歳、「ノー」なら次の出会いを探せばよいだけの話だ。
企業でも、社員の「行動量」を数値化し、積極的な活動を促す取り組みが広がっている。成否だけを評価対象にすると、誰も動かない組織になってしまうためだ。
(3)失敗への耐性
行動量を増やすには、「失敗を恐れない姿勢」が不可欠である。未知の領域に踏み出す時は、「ダメなら次がある。まずやってみよう」「きっと何とかなる」という心構えが大切だ。実際、失敗を恐れず新しいことに挑戦できる人ほど、好機をつかみやすい。
それでも不安が拭えないなら、最悪の事態を想定してみよう。転職先が劣悪な環境なら、すぐに辞めて失業給付を受ければいい。新しく始めたことが向いていなければ、別のことに挑戦すればいい。意外となんとかなると思えないだろうか?
生命に関わる事態を除けば、大抵のことは挽回可能だ。関心を持ったことには、積極的に挑戦していくべきである。
学習態度の形成:その起源 学習への姿勢は、幼少期から徐々に形成される複雑な心理的メカニズムの結果です。同じ家族、同じ学校環境で育っても、人によって学びへのアプローチは大きく異なります。 初期体験の重要性 […]
これからの時代に求められる「資格」と「学び」の考え方

資格取得には戦略的な視点が必要
資格は専門性を証明する有効な手段である。だが「資格さえ取れば一生安心」という発想は、もはや通用しない。医師・弁護士・税理士といった国家資格を除けば、多くの資格は「就職でやや有利になる」程度の効果しかない。
さらに、従来は安定していた士業でさえ、AIの進化により状況が一変する可能性がある。資格そのものが無価値になるわけではないが、収入減少や求人の減少といったリスクは十分に考えられる。
重要なのは、投資対効果の冷静な分析だ。「この資格取得に費やす時間と労力に見合う見返りが得られるか?」を、事前にしっかり検討すべきである。
日本と海外で異なる「専門性の証明方法」
日本では専門性の証として資格が重視されるが、欧米諸国では「大学での学び」がその機能を担っている。
海外企業の採用では、曖昧な「ポテンシャル採用」はほとんど行われない。応募者は学部や専攻で評価される。例えばアメリカでプログラマーになるには、大学でコンピュータサイエンスを専攻していることが前提条件だ。日本でよく見られる「未経験OK」「文系出身者も歓迎」といった募集は存在しない。
フランスも同様である。職種と大学での専攻分野が一致していなければ、採用選考を通過できない。そのため、キャリアチェンジに合わせて学部を変えたり、社会人になってから大学で学び直したりすること(リカレント教育)が、ごく自然な選択肢として定着している。
現代日本において、一つの興味深い現象が静かに広がっている。それは「資格マニア」と呼ばれる人々の存在である。彼らは資格取得そのものに強い情熱を注ぎ、時には実用性を度外視してでも次々と新しい資格に挑戦し続ける。この現象は単なる個人的な趣味を超[…]
「英語力」という武器 ——グローバル時代を生き抜く最強の資産
最速で身につけるなら「現地体験」が鉄則

自動翻訳技術が進化を遂げている今でも、著者は「英語力」の必要性を強く訴える。確かに翻訳ツールの精度は向上しているが、それだけでは海外の人々と真の信頼関係を築くには不十分だ。コミュニケーションの本質は、相手と目を合わせ、同じ言語で自然にやり取りすることにある。
実践的な英語を習得する最も効果的な方法は、実際に海外へ飛び込むことだ。完璧な英語を目指す必要はない。目標は「大まかに意思疎通ができるレベル」に到達することである。そのためには「英語に浸る環境」が不可欠であり、現地での集中的な学習こそが最短ルートとなる。1か月程度の語学留学でも、日常的なコミュニケーションには支障がないレベルまで到達できるだろう。
「英語が苦手だから話すのを避ける」という消極的な姿勢ではなく、「英語が苦手だからこそ、積極的に話す」という前向きな思考への転換が重要だ。
英語が切り拓く、無限の可能性
たとえ生涯を国内で過ごす場合でも、英語力は大きなアドバンテージとなる。ビジネスパーソンとしての市場価値は、複数のスキルを組み合わせることで生まれる。既存のスキルに英語力を加えるだけで、他者との明確な差別化が可能になる。
著者の知人の例が興味深い。プログラミング経験わずか1年半ながら英語が堪能な人物が、「英語力を持つプログラマ」として外資系半導体企業にヘッドハントされたという。技術者としては経験不足でも、高度な英語力が決め手となったのだ。
日本人は全員、義務教育を通じて英語の基礎を学んでいる。少しのトレーニングで「実用的な英語」を身につければ、人生の選択肢は大きく広がっていくはずだ。
旅は単なる場所の移動ではなく、人生を豊かにする知的冒険でもあります。古来より、多くの思想家や文学者が旅の教育的価値を称えてきました。フランスの哲学者モンテーニュは「旅行とは魂のための学校である」と述べ、マーク・トウェインは「旅行は[…]
まとめ
本書の最終章では、海外移住について取り上げている。「将来は海外で暮らしてみたい」という憧れを持つ人は少なくないだろうが、その実現を阻む大きな壁となるのがビザの問題だ。ところが近年、「デジタルノマドビザ」を導入する国が増加しており、世界各地でワーケーションを楽しむハードルは確実に低くなってきている。関心のある方は、ぜひこの章に目を通してほしい。
本書を読み進めていくと、私たちが知らず知らずのうちに自分の可能性を限定してしまっているのではないか、という気づきがある。確かに、慣れ親しんだ枠組みの中で過ごす方が安心感はあるだろう。しかし、少し視野を広げてみれば、もっと充実した自由な選択肢が目の前に広がっているかもしれない。10年後の世界は、私たちの意思とは関係なく大きく変化しているはずだ。「現在」の常識にとらわれることなく、自分らしい人生の在り方を模索していってほしいと願う。
本書の要点 自分を知る パーソナル・プロジェクトから導かれる行動 あなたがレストランにいると、隣のテーブルには男性二人組が座っています。そのうちの一人が運ばれてきたステーキについて「焼き加減が良くない[…]