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危険物取扱者乙5類 試験対策ノート

目次

第5類に共通する特性の重要ポイント

共通する性状

  1. 可燃性の固体または液体である。
  2. 水より重い (比重が1より大きい。)
  3. 分子内に酸素を含有している自己反応性物質である(⇒可燃物と酸素 供給源が共有している)。
    (*アジ化ナトリウムなどは酸素を含まない)。
  4. 燃焼速度がきわめて速い。
  5. 加熱衝撃または摩擦等により、発火, 爆発することがある。
  6. 自然発火を起こすことがある (ニトロセルロースなど)。
  7. 引火性を有するものがある (硝酸エチルなど)。
  8. 水とは反応しない。
  9. 金属と反応して, 爆発性の金属塩を生じるものがある。

貯蔵および取扱い上の注意

  1. 火気や加熱などをさける。
  2. 密栓して通風のよい冷所に貯蔵する。
  3. 衝撃, 摩擦などをさける。
  4. 分解しやすい物質は,特に室温、湿気, 通風に注意する。
  5. 乾燥させると危険な物質があるので注意する。

消火の方法

第5類の危険物は爆発的に燃焼するため、消火は困難(特に多量の場合は、非常に困難) ですが,一般的には,水系 (大量の水や強化液消火 第5類の危険物は,爆発的に燃焼するため, 消火は非常に困難 (特に多量の剤など)の消火剤で消火します (⇒二酸化炭素, ハロゲン, 粉末は不可)。 な乾燥砂等も適応します。
(注:アジ化ナトリウムは注水厳禁で, 乾燥砂等を用いて消火します。)

第5類に共通する特性のまとめ

共通する性状可燃性の固体または液体で、比重が1より大きい自己反応性物質 性状 で、水とは反応せず、加熱衝撃または摩擦等により、発火、爆 発することがある。
貯蔵、取扱い方法火気,衝撃, 摩擦等を避け、密栓して換気のよい冷所に貯蔵する。
消化方法適応する消火剤
・水系の消火剤 (水, 強化液,泡)
・乾燥砂など

適応しない消火剤
・二酸化炭素消火剤消方法
・ハロゲン化物消火剤
・粉末消火剤

<例外>アジ化ナトリウムは水系厳禁 (注水厳禁!)

第5類危険物に属する各物質の重要ポイント

<第5類に共通する貯蔵, 取扱い法>
・火気、衝撃、摩擦等を避け、密栓して換気のよい冷所に貯蔵する。


<第5類に共通する消火方法 >
・大量注水で消火

有機過酸化物

分子中に酸素・酸素結合 (-0-0-) を有する化合物

品名物質名形状比重引火点水溶性アルコール消火
有機過酸化物過酸化ベンゾイル白・結晶1.33溶ける
エチルメチルケトンパーオキサイド無・液体1.1272℃溶ける
過酢酸無・液体1.1541℃溶ける

過酸化ベンゾイル(有機過酸化物)

性状

  1. 白色または無色の結晶 (固体)である。
  2. 水には溶けないが, 有機溶媒には溶けやすい。
  3. 強力な酸化作用がある。
  4. 日光,加熱, 衝撃, 摩擦等によって分解される。
  5. 強酸 濃硫酸や硝酸など)や有機物およびアミン類と接触すると、分解して爆発するおそれがある。
  6. 乾燥させると危険性が増す (⇒乾燥させない!)。

貯蔵, 取扱い法

湿らせるなどして乾燥させない! (自然発火、爆発するため)。

エチルメチルケトンパーオキサイド(有機過酸化物)

性状

  1. 無色透明の液体である。
  2. 引火性がある (引火点72℃)。
  3. 水には溶けないが, ジエチルエーテルには溶ける。
  4. 日光のほか, 鉄, ぼろ布, アルカリ等と接触しても分解が促進される。
  5. 市販品はジメチルフタレートなどの希釈剤で50~60%に希釈されている。

貯蔵、取扱い法

容器は密栓せず通気性を持たせる。

過酢酸(有機過酸化物)

性状

  1. 無色透明の液体で水やアルコール, エーテルによく溶ける。
  2. 引火性がある (引火点41℃)。
  3. 有毒で強い刺激臭の強酸化剤
  4. 有機物などの還元性物質と接触すると爆発するおそれがある。
  5. アルコール, エーテルに溶ける。
  6. アルミニウムなど多くの金属を侵す。

硝酸エステル類

硝酸の水素原子をアルキル基で置換した化合物

品名物質名形状比重引火点水溶性アルコール消火
硝酸エステル類硝酸エチル無・液体1.1110℃溶ける困難
硝酸メチル無・液体1.2215℃溶ける
ニトログリセリン無・液体1.6溶ける
ニトロセルロース無・固体1.7

硝酸エチル(硝酸エステル類)

性状

  1. 無色透明の液体である。
  2. 引火性がある(引火点10℃→常温以下)
  3. 水より重く、水に少し溶ける。
  4. アルコール, エーテルには溶ける。

消火方法

消火は困難

硝酸メチル(硝酸エステル類)

性状

硝酸エチルと同じだが, 引火点は15℃で 水には溶けない。

ニトログリセリン (ニトロ化合物ではない!)(硝酸エステル類)

性状

  1. 無色の油状液体である。
  2. 水に溶けないが, 有機溶剤には溶ける。
  3. 加熱, 衝撃および凍結などによって爆発する危険性がある。
  4. 漏出した場合は, 水酸化ナトリウム (カセイソーダ)のアルコール溶液で拭き取る (分解して非爆発性になる)

消火方法

消火は困難

ニトロセルロース (ニトロ化合物ではない!)(硝酸エステル類)

性状

  1. 無色 (または白色) 無臭の綿状の固体である。
  2. 水に溶けないが, 有機溶剤には溶ける。
  3. 窒素含有量 (硝化度という) が多いほど爆発する危険性が大きくなり、 窒素含有量の多いものを強綿薬 (強硝化綿), 少ないものを弱綿薬 (弱硝 化綿)という。
  4. 加熱, 衝撃および日光などによって分解し, 自然発火することがある。

ニトロ化合物

有機化合物の水素をニトロ基に置き換えた化合物

品名物質名形状比重引火点水溶性アルコール消火
ニトロ化合物ピクリン酸黄・結晶1.77207℃溶ける
トリニトロトルエン黄・結晶1.65溶ける困難

ピクリン酸 (化学式 [C6H2 (NO 3 ) 2 OH] )(ニトロ化合物)

性状

  1. 黄色の結晶である。
  2. 引火性がある (引火点207℃)。
  3. 水には溶けないが、熱湯やアルコール, ジエチルエーテルなどに溶ける。
  4. 金属と反応して爆発性の金属塩となる。
  5. 急激な加熱や衝撃、摩擦等により、発火、爆発の危険性がある
  6. 乾燥すると, 危険性が増加する ( 乾燥状態で貯蔵 取扱わない)。
  7. 大量注水で消火

貯蔵、 取扱い法

  1. 金属や酸化されやすい物質 (硫黄など) との接触をさける。
  2. 乾燥させた状態で貯蔵, 取扱わない (⇒湿らせて貯蔵)

トリニトロトルエン(ニトロ化合物)

性状

  1. 淡黄色の結晶である。
  2. 金属とは反応しない(この点がピクリン酸と大きく異なる)。
  3. 衝撃、摩擦等により、発火、爆発の危険性がある。

その他

ジニトロソペンタメチレンテトラミン(その他)

品名物質名形状比重引火点水溶性アルコール消火
ニトロソ化合物ジニトロソペンタメチレンテトラミン淡黄・粉

性状

  1. 淡黄色の粉末である。
  2. 水, ベンゼン, アルコールおよびアセトンなどにわずかに溶ける。
  3. 加熱すると分解して窒素を生じる。
  4. 強酸に接触すると, 爆発的に分解し、 発火する危険性がある。

ジアゾジニトロフェノール(その他)

品名物質名形状比重引火点水溶性アルコール消火
ジアゾ化合物ジアゾジニトロフェノール黄・粉1.63溶ける困難
アゾ化合物アゾビスイソブチロニトリル白・粉溶ける

性状

  1. 黄色の不定形粉末である。
  2. 水にはほとんど溶けないが, アセトンなどには溶ける。
  3. 光に当たると褐色に変色する。
  4. 燃焼現象は爆ごう* を起こしやすい。
    (*爆ごう: 爆発の際に火炎が音速を超える速さで伝わる現象)

消火方法

一般に消火は困難

硫酸ヒドラジン(その他)

品名物質名形状比重引火点水溶性アルコール消火
ヒドラジンの誘導体硫酸ヒドラジン白・結晶1.37温水○

性状

  1. 白色の結晶である。
  2. 冷水には溶けないが、 温水には溶ける。
  3. 還元性が強く, 酸化剤とは激しく反応する。
  4. 水溶液は酸性を示す。

貯蔵, 取扱い法

直射日光をさけ, 酸化剤やアルカリと接触させない。

ヒドロキシルアミン(その他)

品名物質名形状比重引火点水溶性アルコール消火
ヒドロキシルアミンヒドロキシルアミン白・結晶1.20溶ける

性状

  1. 白色の結晶である。
  2. 水, アルコールに溶ける。
  3. 潮解性がある。
  4. 裸火や高温体と接触するほか, 紫外線によっても爆発する危険性がある

硫酸ヒドロキシルアミン(その他)

品名物質名形状比重引火点水溶性アルコール消火
ヒドロキシルアミン塩類硫酸ヒドロキシルアミン白・結晶1.90
塩酸ヒドロキシルアミン白・結晶1.67

性状

  1. 白色の結晶である。
  2. 水やメタノールに溶けるが,エタノールには溶けない。
  3. 水溶液は強い酸性を示し, 金属を腐食させる。
  4. 強い還元剤である。
  5. アルカリ存在下では爆発的に分解する。

貯蔵, 取扱い法

乾燥状態を保ち, 水溶液は鉄製容器に貯蔵せず (腐食するので), ガラス製容器などに貯蔵する (クラフト紙に入って流通することもある)。

アジ化ナトリウム(その他)

品名物質名形状比重引火点水溶性アルコール消火
その他政令で定めるものアジ化ナトリウム無・結晶1.85
硝酸グアニジン白・結晶1.44溶ける

性状

  1. 無色の板状結晶である。
  2. 水に溶けるがエタノールには溶けにくく、エーテルには溶けない。
  3. 加熱により窒素を発生し, 金属ナトリウムを生じる。舗の色白
  4. 酸と接触してアジ化水素酸を発生し, 水があると爆発性のアジ化物を生じる。
  5. 銀、銅、鉛、水銀, 二硫化炭素と反応して衝撃に敏感な化合物を生成する
  6. 二硫化炭素や臭素には激しく反応する。

貯蔵、取扱い法

直射日光をさけ、酸や金属粉 (特に重金属)と接触させない。

消火方法

乾燥砂等で消火し 注水は厳禁である (3の金属ナトリウムが第3類の禁 水性物質のため)。

硝酸グアニジン(その他)

性状

  1. 無色または白色の結晶である。
  2. 有毒である。
  3. 水, アルコールに溶ける。

第5類危険物の総まとめ

  1. 比重は1より大きい。
  2. 自己燃焼しやすい(自身に酸素を含んでいるので)。
  3. 水溶性
    水に溶けないものが多い (ピクリン酸, 過酢酸, アジ化ナトリウム、硝酸グ アニジンなどは水に溶け (硝酸エチルは少溶), 硫酸ヒドラジンは温水に溶ける。

  4. ほとんど無色(または白色) であるが、ニトロ化合物(ピクリン酸 トリニ トロトルエン)、ニトロソ化合物 (ジニトロペンタメチレンテトラミン) ジア ゾ化合物 (ジアゾジニトロフェノール) は黄色か淡黄色。
  5. 形状
    固体のものが多いが,次のものは液体である。
    メチルエチルケトンパーオキサイド, 過酢酸、硝酸エチル、硝酸メチル、ニ トログリセリン
  6. ほとんどのものは有機化合物である (アジ化ナトリウム、硫酸ヒドラジ ン、硫酸ヒドロキシルアミンなどは無機化合物)。
  7. 引火性があるもの
    硝酸エチル、硝酸メチル、過酢酸, メチルエチルケトンパーオキサイド, ビ クリン酸 (硝酸エチル、硝酸メチルの引火点は常温より低いので注意!)
  8. 自然発火性を有するもの
    過酸化ベンゾイル、ニトロセルロース。
  9. 強い酸化作用があるもの。
    過酸化ベンゾイル, メチルエチルケトンパーオキサイド,過酢酸、硝酸グアニジン。
  10. 燃焼速度が速く、 消火が困難である。
  11. 消火の際は,一般的には水や泡消火剤を用いるが,アジ化ナトリウムに は注水厳禁である。
  12. メチルエチルケトンパーオーキサイドの容器は通気性をもたせる(その 他の危険物は密封する)。
  13. 乾燥させると危険なもの (湿らせた状態で貯蔵するもの)
    過酸化ベンゾイル, ピクリン酸, ニトロセル


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