製造業における、生産管理の役割は極めて重要です。生産管理は、製品の製造から配送までの過程を、能率的に行えるように計画・管理します。第一回はQCD管理について取り上げます。
QCDとは?

生産管理の主な要素として、品質(Quality)の確保、コスト(Cost)の維持・低減、生産量と納期(Delivery)の遵守が挙げられます。それぞれの頭文字をとって、QCD 管理といいます(表1)

生産量の管理
QCD管理において中核となるのは、生産量と納期の遵守です。これは、生産すべき数量と完成時期を計画し、確実に実行する製造進行管理の要といえます。この管理対象は完成品だけでなく、それを構成するすべての部品にまで及びます。
品質やコストといったQCDの他の要素については、設計者が品質を重視した開発を行い、全社的にコスト意識が共有されるなど、生産管理部門以外も積極的に関与します。しかし、生産量と納期については、生産管理担当者以外が関心を寄せることは稀です。つまり、生産管理担当者が数量と納期を継続的に監視しなければ、適切な数量を定められた期限内に納品することは不可能になります。このため、狭義の生産管理は生産量と納期の管理として定義できます。
生産管理部門が注力すべきは、最終製品の生産量と納期だけではありません。構成部品の管理も同様に重要な要素です。現代の製品は単一の部品や原材料から作られることはほとんどなく、自社製造品と外部調達品を含む複数の部品を組み合わせて完成します。そのため、製品を形成する個々の部品についても、それぞれ数量と納期の綿密な管理が求められます。

購入部品については、必要数量と調達期限を正確に算出し、供給業者への発注から現場への納入まで確実に手配することが求められます。この一連の流れが計画通り進まず部品不足が発生すれば、製造工程が停止し、最終的に顧客との約束した納期を守ることができなくなります。
つまり、最終製品の数量・納期管理と同じレベルの精度で外注部品を管理し、社内製造が円滑に進行するよう調整することも、生産管理部門の重要な職責なのです。
製品の品質の管理
加工作業では、計画や設計どおりの仕上がりが必ずしも保証されません。わずかな歪みや表面の凹凸といった不具合は日常的に発生する可能性があり、こうした不良品をそのまま顧客に出荷すれば深刻な問題を招くことは、製造現場の誰もが理解していることです。
このような事態を防ぐため、良品と不良品を区別する明確な合格基準を設定し、不良品を発見次第、手直しや廃棄によって除去する体制を整備する必要があります。これらは品質管理業務の核心部分です。
対象範囲は最終製品に留まらず、構成部品すべてに及びます。自社製造部品の品質検査は生産管理部門が実施しますが、調達部品や外注部品については購買管理部門が担当し、不良の有無だけでなく要求仕様との適合性も検証します。ただし、購買部門を持たない小規模企業では、生産管理部門が調達品や外注品の検査も兼務します。
このように、品質管理、購買管理、外注管理は広義の生産管理の構成要素として位置づけられます。
生産コストの管理
生産コストは原材料費、労務費、製造間接費の三要素で構成されます。製造間接費には電力等のエネルギーコスト、補助材料費、事務職員の人件費などが該当します。これらコスト管理の狙いは、製造原価を安定した水準で保持するとともに、可能な範囲でのコスト削減を実現することです。
今回は、QCD の3 要素、品質(Quality)、コスト(Cost)、生産量と納期(Delivery)の概要を紹介しました。なお、一般的には、製造設備の管理や、物流・配送も、生産管理の業務として考えられます。
次回は、生産形態による管理の重点について取り上げます。
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